殺し屋×JKの恋
7,お別れしたくありません
《待って、もうすこし日本にいてください! 私とデートしてください! せめて連絡先を交換してください!!》
《よ、よせ、ナミ……!》
ジョットさんの背中にすがりついてお願いをすべて口にすると、ジョットさんはビクッとはねて、あわてた声を出す。
クールな雰囲気だったのに、そうやって
それなのに、ジョットさんは帰っちゃうんだ……日本人じゃなくて、イタリアの人だから。
涙をこらえていると、ジョットさんは電話に向かってすこし声を落とした。
《あぁ……例の一般人に“好き”だなんて言われて、もうどうしたらいいのか……》
《連絡先を交換してくれたらいいんです!》
《やめろナミ、今はボスと……は、ボス!? でも、それは……! ボス!》
ひときわ大きな声を出したジョットさんは、ゆっくりスマホを耳から離して、私に背中を向けたまま立ちすくむ。
《ジョットさん、お願い……!》
《……》
Yシャツの背中をギュッとにぎりしめてお願いすると、ジョットさんは小さな声を落とした。
《ボスに、言われたからだ……だから、教えてやる》
「!」
目を見開いてYシャツをにぎった手をゆるめれば、ジョットさんはしずかに振り返って、顔をそむけながら私にスマホを差し出す。
明るく
《ジョットさん……! ありがとうございますっ!》
ほおのゆるみが止まらない。
涙の引いた目で画面を見つめ、一文字一文字まちがえないようにジョットさんのメールアドレスを自分のスマホに打ちこむと、私はスマホを抱きしめた。
やった~~……っ! ジョットさんとメールができる!
《……れ、連絡をとるつもりは、ないからな》
よろこびをかみしめていたら、ジョットさんにそんなイジワルを言われて、すこし口角が下がる。
でも、返事をもらえるようにがんばれば いいや、と思いなおして、まだ顔をそむけているジョットさんを見た。
《ジョットさん、お付き合いしてる人や、好きな人は?》
《い、いるわけないだろう……俺はマフィアの殺し屋だ》
《それはよかったです!》
私にもチャンスがある! とよろこびを笑顔に変える。
ジョットさんはこれからイタリアに帰って、もう会えなくなっちゃうし……。
大人の人に覚えててもらうためには、ちょっと背伸びをしたって、いいよね……?
視線を落として考えこんだあとにチラッとジョットさんを見ると、顔をそむけたまま私を見ていたジョットさんと目が合った。
あわてたように、バッと体ごとうしろを向いたジョットさんを見て、顔がにやける。
私はジョットさんの前にまわりこんで、《ジョットさん》と呼びかけながら両手を彼の肩に乗せた。
《ごめんなさい、好きです》
一応勝手にしてしまうことへの謝罪も口にして、かかとを上げる。
細めた目で唇の位置を確認しながら、固まっているジョットさんに近づいて、チュッとキスをした。
バクッバクッと心臓がさわぐのをしばらく聞き、かかとを地面に下ろすと、ジョットさんの顔が真っ赤になっているのが見える。
《イタリアに帰っても、私のこと忘れないでくださいね》
《っ……き、きみは……》
目を細めて笑いかけると、ジョットさんは眉を八の字にして顔を片手でおおい、ごにょごにょと小さくなにか言った。
やった……! これで、ジョットさんの忘れられない人になれたかな?
さっきのよいんで ほおが熱くなっているのを感じながら、私も視線を落として、ぬくもりを感じた唇にふれる。
《……私、キスしたの初めてです》
初めてのキスをジョットさんとできてよかった。
じゅわりと、さらにほおが熱くなる感覚を覚えつつ、ほおがゆるむまま笑みを浮かべると、目の前から息を飲む小さな音が聞こえる。
視線を上げれば、指のすきまから私を見ているジョットさんと目が合った。
《~~っ……帰る!》
《あ、待ってください! 空港まで案内しますよ!》
バッと、私に背中を向けて早足で歩き出したジョットさんを追いかけ、私は
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あれから、ジョットさんは言葉を
連絡をとるつもりはないって言ってたけど、なんだかんだ、ジョットさんは毎回短い返信をくれていた。
長引いた夏の気配も遠のき、ようやく秋を感じるようになったころ、私は修学旅行でやって来た、とある街を見まわした。
先生からもおなじ班のクラスメイトからも離れて、もうけっこう移動したかな。
昼下がりの日差しを浴びて白く染まる石畳の道を進み、街のにぎわいを はるかうしろに置いていく。
石造りやレンガ造りの建物を横目に、大きな洋館の前にたどり着くと、手に持ったスマホをにぎりしめて足を止めた。
「写真で見たのとおなじ……だよね?」
スマホの地図と、画像フォルダに保存した写真を食い入るように確認して、私は笑みを浮かべる。
ここでまちがいない!
私は青空にスマホを向けて写真を撮ったあと、メールアプリを開いて、トットットッ、とキーボードをフリックした。
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