殺し屋×JKの恋
6,組長さんはちょっといい人でした
「あ、ジョットさんはマフィアの方で、おクスリを売った人がそのマフィアからおクスリを
「そうか……うちのが
おじいさんにすべて説明すると、おじいさんはあごを なでながらそう言ってくれた。
このおじいさんも、ちょっといい人かも……?
「しかし、どうしてその男にくっついてここへ来た?
「はい。でも、ジョットさんが好きなので、一緒にいたくて!」
ジョットさんは日本語がわからないから、正直に答えれば、おじいさんはポカンと目を丸くする。
それから、「はっはっは!」と大きな声で笑い出した。
「今どきの娘っ子は
「えぇと……ありがとうございます?」
「くっくっ。その男に伝えてくれるか。取り引きしたものは返す、嬢ちゃんも無事に帰すから、おまえさんもあばれずに帰れ、とな」
「わかりました」
おじいさんにうなずいて答え、
ぜんぶ伝え終わると、ジョットさんは《いいだろう》と目を伏せて、ピストルをショルダーバッグにしまった。
通訳しなくても、おじいさんはジョットさんが
「話したとおりだ。おまえさんは無事に帰す。その代わり、今日のことはだれにも しゃべるんじゃねぇぞ」
「あ、大丈夫です! ジョットさんにも墓まで持って行けって言われたので、絶対に他言しません!」
「はっはっは! そうかそうか。……おい、持ってこい」
「へい」
おじいさんが命令して、この部屋にいたヤクザさんの1人が
チラリと視線を向けると、
これで、もう私が命をねらわれることはない……のかな?
その後、無事におクスリを返してもらった私たちは、
《おクスリ、無事に取りもどせてよかったですね》
《あぁ》
《これからどうするんですか?》
ヤクザのお屋敷があるからか、このあたりは人通りがないみたい。
だれかにぶつかる心配もないから、歩きながらとなりにいるジョットさんを見ると、ジョットさんは前のほうに視線を向けて答える。
《イタリアにもどる》
《えっ。もう帰っちゃうんですか!?》
びっくりして思わず立ち止まると、ジョットさんも足を止めて私に顔を向けた。
私は涼しい顔をしているジョットさんにつめ寄って、《もうすこし日本にいられませんか!》とうったえかける。
でも、ジョットさんは顔色を変えずに、目を
《俺の仕事はコズモを片付けて、盗まれたクスリを回収することだ……もう任務は終わった》
《そんな……!》
《……ナミがいてくれて、助かった。だが、もう家に帰れ》
何回も言われた言葉に対して、今回も“いやです”と言い返したいのに、ジョットさんが帰ってしまうショックで言葉が出てこない。
ジョットさんは、きれいな茶色の瞳で私をしずかに見つめた。
《ナミも、俺たちのような人間とかかわるのは いやだろう……今回のことは、早く忘れろ》
《っ、いやです!》
《……なぜだ?》
問い返されて、私はギュッと両手をにぎり、視線を落とす。
《せっかく、ジョットさんと会えたのに……っ》
《……俺が、なんだ?》
出会って、たった数時間で もう会えなくなっちゃうの?
お別れすることを考えただけで、こんなに胸が苦しくなるほど好きになった人なんて、ほかにいないのに……。
《……好きです、ジョットさん! イタリアに帰ってしまうなら、せめて連絡先を
バッと顔を上げて、ジョットさんを見つめながら
《な、なにを……》
おどろきのあまり、すこしふるえている声が好き。
《好きです……あなたが好きなんです! もっと知りたいんですっ、ジョットさんのことを。もっとジョットさんと一緒にいたいんです!》
《な、ナミ、落ちつけ》
《好きな人ともう一生会えないかもしれないんですよ、落ちついてなんかいられません!》
口にして、うるっと瞳に涙のまくが張った感覚がした。
ジョットさんともう一生会えないなんて やだ……っ!
目を離したすきに いなくなってしまわないように、一瞬たりとも目をそらさずにジョットさんを見つめると、彼はたがいちがいに眉を上げて口角を下げる。
《な、なぜ俺なんかを好きだと言うんだ……》
《ジョットさんは私の命を救ってくれました。それにやさしくていい人だし、かわいいところがあるから!》
ジョットさんは目玉がこぼれ落ちそうなほどに大きく目を見開いて、
はくはくと口を開閉しているジョットさんがなにか言うのを待っていたら、ジョットさんはパッと私に背中を向けてズボンのポケットに手を突っこむ。
《ジョットさん!》
《……ジョットです。クスリの回収に成功しました、これより
私の声を無視して、ポケットから取り出したスマホを耳に当てるジョットさん。
ボスさんに電話してるんだってわかったから、目の前の背中にいきおいよく近づいた。
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