酸 いも甘いも、イケメンぞろい。
番外編1、きれいな先輩の困りごと②
奥の段ボール箱に腰かけている
「これが始まった時期と、送られてくる手口は?」
「えっと、先週の月曜日からです。朝、学校について
「いつも何分ぐらいに来るッスか? 帰る時間も教えて欲しいッス!」
「朝は、予鈴の10分前くらいに着くようにしてます。帰りも、部活とかには入ってないので、ホームルームが終わったらすぐ帰るほうです」
「それじゃあ、朝でも放課後でも仕込む時間は充分にありますね。どうします、クズ先輩?」
ひら、と写真を振って、
雨蓮さんは持っていた写真を
なんだろう……?
目が合うだけでドキッとしちゃう。
「平和にいくか。
「はいッス!」
「ですね。……春宮さんはしばらく、ふつうに過ごしててくれるかな? 僕たちが盗撮犯を見つけて、
「う、うん……分かった」
「せっかくなら、しばらく泳がせるか。1枚きりじゃ弱いからな」
雨蓮さんは、ふ、と妖しくほほえんだ。
な、なんだか悪い顔をしている気がするんだけど……。
「悪いことを考えてるよね、雨蓮?
「大したことじゃない。少し楽しもうと思っただけだ」
目を伏せて笑った雨蓮さんを見て、ドキドキしつつ、なんだか心配になるなぁ、と苦笑いする。
もう悪いことはしないと思うけど。
お兄ちゃんたちがよく言う“性格の悪さ”が出てるのかな?
なんてことを考えていると、ふと、春宮先輩がぽーっと雨蓮さんを見ていることに気づいて、あれ、と思う。
「証拠がそろったら未來を通して連絡する。それまでは、盗撮のことは気にせず自由にしていろ」
「は、はい……」
ハッとした顔でうなずく春宮先輩を見て、ちょっと様子が変だったのは、たんにぼーっとしてただけかな?と納得した。
春宮先輩が視線を落として、不安そうにしているから、わたしは、うん、と決意して口を開く。
「春宮先輩! 先輩たちが証拠を集めている間、わたしが一緒にいますね」
「え……?」
「望羽」
お兄ちゃんが眉を下げて心配そうにわたしを見るから、安心させるために笑い返した。
「どこかで盗撮されてるって思いながら過ごすのって、きっと怖いから。……事情を知ってる人と2人でいれば、不安も半減しますよ」
「……ありがとう」
春宮先輩は、ホッとしたような笑顔を見せてくれる。
美人さんらしく、きれいな笑顔で少し
「いいえ。あ、自己紹介がまだでしたよね。わたし、
「私は
えへへ、と春宮先輩に笑ってから、お兄ちゃんと先輩たちを見た。
「それじゃあ、わたしは春宮先輩と一緒に行きますね。盗撮のことはよろしくお願いします!」
「うん、望羽ちゃん、またね」
「任せて欲しいッス!」
「あぁ」
「なにかあったらすぐ連絡するんだよ」
お兄ちゃんにはうなずいて答えて、手を振りながら春宮先輩と備品室を出る。
A棟に戻るとちゅう、春宮先輩はしみじみと言った。
「本当にものすごいイケメンぞろいだったわね……望羽ちゃん、あの人たちと一緒にいたらドキドキしない?」
「あはは、します……」
ただでさえかっこいい人たちなのに、わたし、みんなに告白されてるから……。
むしろ、ドキドキしないときがないかも。
「望羽ちゃんも大変そうね……女子に嫌がらせとか、されてない?
「嫌がらせですか? うーん、そういうのはないですね」
「へぇ、そうなの……それはよかったわね」
意外そうにあいづちを打ちつつ、ほほえんで言われて、「はい」と笑った。
そういえば、お兄ちゃんを
どうしてだろう?
ふしぎに思いつつも、悪いことではないから、まぁいっか!と切り替えて、わたしは春宮先輩に話しかけた。
****
休み時間は春宮先輩に会いに、3階へ通うようになってから数日。
すっかり春宮先輩とも仲良くなって、早く先輩を迎えに行こう、と思いながらお弁当を取り出していると、スマホがふるえた。
ポケットに手を入れて通知を確認すると、犬丸先輩からのメッセージで。
[準備が整ったから盗撮犯に会いに行くッス。3階の空き教室へ来て欲しいッスよ]
「あ……」
そっか、証拠が集まったんだ!
わたしは[分かりました]と返信して、お弁当を机の上に置いたまま、急いで3階に向かった。
「春宮先輩、みなさん!」
「あ、望羽ちゃん……」
空き教室の場所は春宮先輩から聞いてたから、まっすぐ歩いてくると、空き教室から少し離れたところにみんなが集まっていた。
未来先輩や犬丸先輩に笑顔で手を振られて、にこっと手を振り返し、春宮先輩に近づく。
「盗撮犯がなかに入っていったのは確認した。まずは1人でやつに会って、要求を聞き出せ」
「は、はい……」
「大丈夫です、危ないことになる前に、絶対先輩たちが助けてくれますよ! わたしもすぐ近くにいます」
不安そうな春宮先輩を元気づけると、「うん」とほほえみを見せてくれた。
春宮先輩を怖がらせる悪い人……一体、どんな人なんだろう?
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