酸 いも甘いも、イケメンぞろい。
番外編1、きれいな先輩の困りごと①
いいなんでも屋さんは、先輩たちがイケメンぞろいということで、主に女の人からの依頼が多くて、なかなかいそがしくしているみたい。
とはいえ、その内容はすぐに解決できるかんたんなものが多いみたいだけど。
わたしは同じ1年生から依頼を聞いて、先輩たちに伝えるのが主な仕事で、それ以上のお手伝いをすることはあんまりない。
本当はもっと手伝いたい気持ちがあるんだけど、お兄ちゃんに「それはあいつらの仕事だ」って言われちゃって。
休み時間、移動教室から帰ってきて、教室へ向かうとちゅう、屋上前へ上がっていくきれいな女の人を見かけた。
屋上前に行く人がめずらしい、というのもあるけど、その人がなんだか暗い顔をしていたのが気になって、わたしはいったん教室に戻るのをやめる。
「こんにちは。あの、どうかしたんですか?」
「え……」
教科書やノートを持ったまま、階段を上がっておどり場から上を見ると、女の人はビクッとおびえた様子を見せた。
「あ、おどろかせてごめんなさい。暗い顔をして上がっていくのが見えて、気になっちゃって……なにかあったんですか?」
「……ううん、なんでもないの。ごめんなさい、別の場所に行くわ」
眉を下げて笑い、階段を下りてくる女の人を見て、わたしは階段を登りながら「あのっ」と声をかける。
「もしかして、なにか困ってることがあるんじゃないですか? わたし、なんでも屋さんのお手伝いをしていて。よかったらお話、聞かせてください」
「なんでも屋……? って、
「はい、そうです! 2年生の人ですか?」
足を止めてくれた先輩に近づいて、階段に座ると、先輩も一緒になって座ってくれる。
「そっか……女子に人気だって聞いてたけど、1年生の女の子も手伝ってるんだ」
「あはは、ちょっと事情があって。それで、どんなことに困ってるんですか?」
きれいな横顔を見て聞けば、先輩はやっぱり暗い顔をして、少しの間だまりこんだ。
「……私ね、今、誰かにおどされてて」
「おどされて?」
ぶっそうな話にびっくりして目を丸くすると、先輩は「うん」と目を閉じる。
「もう1週間くらい前かな……
「……どんな手紙だったんですか?」
「“盗撮をやめて欲しかったら、昼休みに3階の空き教室に来い”って。行こうか悩んだんだけど……怖くて行けなかった」
「そうですよね……」
下駄箱に毎日盗撮写真が入れられるなんて……誰だって怖いよ。
先輩は、美人さんだからねらわれちゃったのかな……?
「そしたら今日の朝は……“来るまで待ってる”って手紙と一緒に、また盗撮写真が入ってた。たぶん、昨日撮られたやつ」
「そうなんですか……怖かったですよね」
「うん。誰も来ないところで休もうと思って、ここに来たの」
「そうでしたか……先輩、なんでも屋さんに助けを求めましょう! わたし、みなさんに連絡して集まってもらうので、今から来てもらえますか?」
「え? ど、どこに?」
「B棟です!」
にっこり笑って、わたしはいつでも先輩たちに連絡できるよう、持ち歩くようになったスマホをポケットから取り出した。
他の先輩たちとは交換したから、みんなで備品室に集まって欲しい、って連絡して、教科書やノートを教室に置いてから、先輩とB棟に向かう。
お兄ちゃんも含めて、みんなすぐに集まってくれたみたいで、備品室についたのはわたしたちが最後だった。
「あれ、きみは……
「あ、うん」
未来先輩は先輩のことを知ってたみたいで、にこっと愛想よく笑う。
春宮先輩のほうは、備品室に集まっている先輩たちの顔を見て、少しびっくりしてるみたいだった。
まぁ、本当にみんな、お兄ちゃんを含めてすごいイケメンだから……。
「みなさん、集まってくれてありがとうございます。こちらの先輩が盗撮写真でおどされて困っているので、助けてあげてください!」
「盗撮写真ッスか?」
「はい、あの……これ、なんですけど」
春宮先輩は、B棟に来るとちゅう、相談用に取りに戻ってくれた写真をファイルから取り出して、みんなに見せる。
写真に写っているのは、教室で机に座っていたり、
特に目立った内容ではないのだけど、それがたくさんあるところが、他人のわたしでもぞっとする。
先輩たちは写真を受け取って、それぞれ何枚か、ながめた。
「困ったことをする人がいるんだね……」
「……なるほどな」
「おどされてるっていうのは?」
未来先輩が聞くと、春宮先輩はファイルの中からメモを取り出して見せる。
「昨日、この手紙が一緒に下駄箱に入ってて……怖くて行けなかったら、今日はこの手紙が」
「“昼休みに3階の空き教室へ来い”、か。手書きだから特定はかんたんそうですね」
あっさりと言う様子が、なんだか頼もしい。
春宮先輩を助けてあげて欲しい、とわたしは先輩たちとお兄ちゃんの
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