不良ぎらいだけど面食いな私VS超イケメンな不良
8,おどり場で、目撃
バイト中の
はっきり言おう。
私、死ぬかもしれない。
いやいや、大我先輩のことをもっと知りたいって言ったのは私だよ?
でもさ、でもさ……!
『
『
『真陽。昼、一緒に食わないか』
登校中! 休み時間! これまで野良試合の話題ばっかりだった大我先輩が、雑談を!!
あの整いすぎたお顔で、日常の話を聞かせてくれるの! 少しこまり顔で!
しかもお昼までさそってくれて、一緒に食べるのが習慣になりつつあるし!
大我先輩の
休み時間、両手で顔を押さえて思い出し興奮した私は、ちょっと落ちつこうと、トイレに行くことを決めた。
せっかくだから
あれから知ったことだけど、優衣先輩って
滝高ナンバー2の男が守ってるなら安心ではあるけど、不良が保護者というのはちょっと複雑でもある。
「
教室を出ようとすると、すっかり
「お手洗いに行ってきます。大我先輩が来たら、すぐに戻りますと伝えてください」
「はい」
ありがとう、という意味をこめて笑顔を向けてから、私は階段に向かった。
基本的に1年生しかいない2階では、もう
むしろ、あいさつされて
「――いやだって言え。俺が味方してやる」
「えっ?」
あれ、大我先輩と優衣先輩の声だ、と視線を上げれば、2階と3階のあいだのおどり場に2人の先輩がいた。
しかし、大我先輩が優衣先輩の手首をつかんで階段を登っていくのが見えて、私は心臓がドキッと跳ねるのと同時に、壁に隠れてしまった。
あ、あれ、私、なんで隠れてるんだろう……。
大我先輩たち、どうかしたのかな……?
――“俺が味方してやる”
ぐうぜん聞いてしまった大我先輩の声が耳に残って、ちょうど1週間前に抱いたもやもやが胸の底から湧き出してくる。
なんの話を、してたんだろう……?
優衣先輩になにかあったのかな……?
優衣先輩を心配に思う気持ちがあるのに、それ以上に、大我先輩のやさしい言葉が胸のざわつきをあおった。
『大丈夫か?』
『なにかあれば俺も力になる。えんりょなく頼れ』
『俺が味方してやる』
優衣先輩だけに向けられる、やさしい言葉。
大我先輩が私に言ったのなんて……。
『
『お前にタイマンをもうしこむ』
『俺とタイマンしろ』
そんな言葉、ばかり。
私だって、滝高にいる数少ない女子なのに。
「……真陽?」
「え……た、大我先輩……!」
不意に、横から声が聞こえてビクッとしながら顔を動かすと、大我先輩がすぐ近くに立っていた。
優衣先輩と、上の階に行ったんじゃ……?
「……こんなところで、なにしてるんだ?」
「え、あ、いえっ。優衣先輩に会いに行こうかな~っと……!」
「……
大我先輩は眉根を寄せて、視線を落としながら首裏に手を回す。
「え……お1人で……?」
「いや、
大我先輩……どうして、そんな不服そうな顔をしてるんだろう……。
遠藤先輩がついてるなら心配はないだろうし……優衣先輩が遠藤先輩に保護されてるのは、大我先輩だって知ってる様子だったのに。
……もしかして大我先輩、自分が優衣先輩を守りたいと思ってる……?
え……それって、なんで? 大我先輩、実は優衣先輩のことが好きとか……??
「笹森に会いに行くなら、俺も一緒に行っていいか。様子が気になる」
「えっ! い、いえ、おいそがしいみたいですし、やめておきます……っ!」
“様子が気になる”って、やっぱり……!?
思わず発言を
「……なら、あとで教室に行くか」
ぼそっとつぶやかれた言葉が胸に刺さって、頭のなかがぐるぐる回転する。
大我先輩、優衣先輩のこと好きなのかな……!?
仲良くなれたと思ったけど、私なんて眼中になくて、実は優衣先輩とお近づきになりたいと思ってるとか!?
優衣先輩美少女だし、かよわい女子だし……っ、それは、男子が好きになるのも当然だけど……!
大我先輩が優衣先輩のこと好きなんて――いや、だな……。
“いや”。
その一言が浮かんだことで、私は自分の気持ちを自覚した。
顔面国宝級のどイケメンさまだから眼福、っていう以上に、私、大我先輩のこと、好きなんだ……。
ただの鑑賞対象じゃなくて……もっともっと、近づきたい。
大我先輩と仲のいい女子は、私だけであって欲しい。
そんなことだって、思ってしまう。
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