不良ぎらいだけど面食いな私VS超イケメンな不良
5,予想外の出会い
滝高は共学校でありながら、99%……というか私以外の全校生徒が男性だから、各階に女子トイレはあれど、まともに使えるのは
今日も、ほぼ教員用だからわりときれいに
「あ、1年の女の子」
「あなたは……入学式の日に、体育館にいた」
1階の階段に赤髪のイケメンが座りこんでいて、目を見開いた。
くせっ毛の髪に、緩やかに曲線を描く細い眉、春の草原のような緑色の瞳。
近くで見ると顔が整いすぎている……!
滝高なんかで出会わなければ思う存分そのお顔を鑑賞したのに!!
悔しく思いながらも、思わずじーっと顔を見ると、赤髪のイケメンはにこっとほほえむ。
「3年の
「くっ……やはり不良でしたか……! 1年3組、
しかもナンバー2って……通りで腕が立ちそうな男だと思った。
礼儀をわきまえて自己紹介を返すと、遠藤先輩は笑顔で
「きみ、1年をシメたらしいね。先生から新入生に女の子がいるって聞いたときは心配したものだけど。様子を見に行ったら乱闘のなかに入っていくし」
ははっ、と笑う顔も不良じゃなければ眼福だ。
「言葉を変えてもらえませんか。不良になったつもりはありません。それと、心配していただいたのはありがとうございます」
「ごめんごめん。でもさ、“力は正しく使うもの”ってやつ広めたいなら、滝高のトップを目指すのも手だよ? 不良は強いやつにしたがうし」
「
「不良って、やめるやめないとかじゃないでしょ。ふつうに生きてたらそう呼ばれるようになっただけだし」
ひざにほおづえをつきながらにっこりと笑われて、この人も手ごわそうだなと思う。
まぁ、また会う機会があればそのとき説得すればいいだけだし。
トイレに行くところだったのもあって、私は「機会があればまたお話しましょう」と口にした。
「行くところがあるので、失礼します」
「うん、じゃあね」
ひらひらと手を振られて、
顔だけは眼福だった、と思いながらトイレに入ると、今日はめずらしく先客がいた。
「チッ、イケメン狂いか……!」
「――!」
「なっ……!?」
トイレの奥で、ミルクティー色のロングヘアの女子が、チンピラ顔の男に手首をつかまれいる。
口と鼻までおおわれて、ピンク色の大きなたれ目をうるませているのが、なんともかわいそうだ。
千年に一度の超・美少女……っ!!
心臓がわしづかみにされる!! っじゃなくて!
「かわいい女の子になにをしてるんですかっ、この変態男!!」
私はすぐに2人にかけ寄って、回し蹴りを男のわき腹に食らわせる。
それからすぐに美少女の手首をつかんでいる男の腕をにぎりしめて、美少女の手を解放させ、彼女をうしろに下がらせた。
「女子トイレに入りこんで美少女をおそうなんてっ、死罪です!!」
「くそっ、ぐぁッ!」
このごにおよんで逃げようとした男に、上段突きからの
ピクリとも動かず気絶している様子を見て、ちょっとやりすぎたかなと後悔がおそったものの、変態に
「大丈夫ですか。おけがはありませんか?」
「は、はい……ありがとう、ございます……」
美少女はつかまれていた手首を押さえながら、パチリ、パチリと目を丸くして答える。
鈴が鳴るようなかわいいお声に、完璧美少女現る、と心のなかでつぶやいた。
私と同じく、赤いリボンを結んだ黒いセーラー服を着ているところから察するに、滝高の生徒だとは思うのだけど……。
「私は1年3組の寺岡真陽と言います。美少女さんのお名前は?」
「あ……えっと、私は
眉を下げつつ、ひかえめにほほえむお顔が美にあふれていて、「はぅっ」と声がもれた。
2年生に女子がいたなんて……それもこんな美少女が……!
「先輩でしたか。私の他にも女子がいたなんて知りませんでした」
「うん、私も……あ、私は一昨日転校してきたばっかりなんだけど」
「そうなんですね。だから優衣先輩の存在が耳に入らなかったんですか」
先生からも“滝高唯一の女子”と言われた記憶があるのは、聞き間違いじゃなかったんだ。
それにしても一昨日からこんな美少女が同じ学校にいたなんて……もっと早く知りたかった……!
「そうかも。……えっと」
ふわりと笑顔を見せてくれた優衣先輩のまぶしさに上体を少しのけぞらせると、先輩は眉を八の字にして床を見る。
そうだった、変態男の始末をまだしてなかった。
「あ、この男はひとまず
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