不良ぎらいだけど面食いな私VS超イケメンな不良
3,イケメンさまの要求
こんな学校で、正当防衛でも暴力ざた~、なんて気にしたところで意味がない。
そうさとって、入学式が終わったあと、あのとんでもルールを聞いてふたたびやる気を出した男たちを返り
私はどうやら、自分のクラス……1年3組のトップになってしまったらしい。
「はぁ~、どうしてこうなってしまったんでしょう……人を助けた結果が地獄行きなんてあんまりです……」
「女に負けるなんてありえねぇ! もっかいやれば……ぐはッ!」
「なに片手間にやられてんだよ! 女がトップなんて認めねぇ! オラ、ぁがッ!」
ホームルームが終わったとたん、またしつこくおそってくる男たちを返り討ちにしながら、ため息をつく。
本当に、どうしてこんなことに……。
いや、めげちゃいけない。
不良ばかりの高校に入ってしまったなら、武道を心得る者として、1人でも不良を減らすべく生徒を
顔を上げて、それしかないと決意した私は、席を立って教室にいる男たちを見た。
「みなさん、いいですか! 力は、むやみやたらに使うものではありません。試合の場だったり、人助けをするときにこそ使うものです!」
「はぁ? なに言ってんだ」
「力は正しく使うべし! 人より強い力を持ったみなさんは、この言葉を胸に刻んでください! 私たちは、わがままを通すために力を持っているのではありません!」
横からおそってきた男を返り討ちにしながら言うと、クラスメイトの不良たちは、ぐ、と押しだまる。
そのとき、廊下のほうから「俺には目的がある」と
振り向くと、顔面国宝がいきなり視界に飛びこんできて、くらっと失神しそうになる。
「い、イケメンさま……!」
「……イケメンさま?」
教室の前に立っているイケメンさまは、理解できない外国語を聞いたときのように、きょとんとした様子で私を見た。
「はっ、い、いえ、正しくは顔面国宝さまだとは分かっていますっ、でも、私もやむにやまれぬ事情でイケメンさまとは
イケメンさま、とスケールダウンした呼び方で
「……よく、分からないが。俺は2年3組の、
「え……すみませんが、おことわりします」
いくらイケメンさま……大我さまのお言葉でも、不良との野良試合はちょっと。
大我さまは眉根を寄せて不満をあらわにしたものの、
「……1年のなかで、一番強そうなのがお前だった。俺は最強になるために、お前に勝つ必要がある」
「そうですか……でも、おことわりします。私は“暴力”を振るう気はないので」
「……ことわるなら」
ぼそっとつぶやいた大我さまはするどい視線を私に向けて、一瞬で距離を詰めてきた。
せまってくるこぶしを、ぎょっとして
「あ、あの、私、野良試合はおことわりしたと思うのですが!」
「お前が拒否しても、俺はお前とやる必要がある。ことわるならその気にさせるだけだ」
「えぇぇっ!? そ、それは困ります!」
大我さまを抑えこむのは苦労しそうだし、ここはいったん逃げてしまおう!
また冷静になったときに説得すればいいし!
「わ、私、今日は急ぎの用事があるので! 失礼します!」
「待て――!」
私は教室から走り去って、高校に通うために1人で引っ越してきたマンションへと逃げ帰った。
ちょっと道に迷って時間がかかったけど、確かに私の新居へ帰ってきた――はずが。
「た、大我さま……? どうしてここに……」
「……俺はただ、自分の家に帰ってきただけだ。お前こそ、どうしてうちの前にいる?」
マンションの
“自分の家に帰ってきた”って……?
「え……だって、ここ、私の家なので……」
私は503号室と書かれた自分の家を指さす。
大我さまは私の指の先に目を向けて「
「
「……そうか。それなら、寺岡がうちのとなりに引っ越してきた、ってことだな」
「“うちのとなり”……!?」
直後のワードが強烈すぎて、大我さまに名前を呼んでもらえたよろこびも吹き飛ぶ。
大我さまが指さしたとなりの家の表札を見ると、確かに[仁木]と書かれていた。
国宝級のどイケメンさまがおとなりさんって、どんな神展開!?
「……ふ、ふつつか者ですがっ、よろしくお願いします! 決して! 決して大我さまをストーカーしたりはしませんので!」
「……言ってる意味が分からないが、さまづけはしなくていい」
「えっ、ではどう呼べと!?」
「ふつうに……先輩とか」
大我先輩!? そんな! そんな親密な呼び方!!
キャパを超えた私は、なんとか「し、失礼しますっ!」とあいさつをしてから家に逃げこんだ。
私の高校生活、本当にどうなっちゃうの……!?
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