ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。
1,転校先は……?
私、来る学校間違えてないよね……?
お嬢さま学校に転校させてもらえるっていう話、もしかして聞き間違えてたのかな……!?
年度末ぎりぎりに転校が決まったことで、始業式から数日遅れて登校を始めることになった私は、混乱しながらお
「
「は……はい……」
不良男子たちと目を合わせないように落としていた視線をしぶしぶ上げて、先生に言われた席を確認する。
私はならんだ机の前を歩いていき、視線を床にとめながら、両わきの机に絶対ぶつからないよう、慎重に、慎重に教室の奥へと進んだ。
でも、バッと体の前に手のひらを出されて、肩を跳ね上げながら、その手の主を見る。
「よろしく~」
「……っ」
頭にそりこみが入った男子にへらへらと笑いながら手を振られて、私はなにも言うことができないまま、ただ、
教室のうしろまでたどり着くと、見えないのに背中に視線を感じるようで、ぎゅっと目をつぶりながら、ぎこちなくイスに座る。
わ、私……これから2年、この学校でやっていけるのかな……!?
「――で、――だ。ホームルームは以上、お前たち、笹森にからんで怖がらせないように。じゃあな」
「「へーい」」
キーンコーンカーンコーン、と鳴るチャイムと一緒に、先生が教室を出ていく足音がした。
ガラガラと扉が閉められると、私はスクールバッグにそっと手を伸ばして、教科書や筆箱を取り出そうとする。
「なぁ、どこの高校から来たんだ?」
「えっ……?」
話しかけられた……!?
ビクッとして顔を上げると、前の席の不良男子に顔を向けられていただけじゃなく、教室中の男子がこっちを見て、席を立とうとしていた。
「え……あ……」
「その前髪、編みこみってーの? めっちゃかわいいな。
「てか目も大きくて肌も白いし、超美少女じゃん。顔なんて俺の半分しかねーんじゃねぇの?」
「なぁ、彼氏いんの? いないなら俺と付き合わね?」
「バカかお前、俺のほうがいいに決まってんだろ!」
ぎゃはは、と大きな笑い声がひびいて、身を硬くする。
あっという間に不良男子たちにかこまれてしまって、席を立つことも、
見た目も怖いし、距離も近いし、なんて答えればいいのか分からない。
「そ……その……」
「あ? なんて?」
「……っ」
「――あ~あ~、さっそく全員でかこんじゃって。はい、解散」
やさしげな低い声が廊下のほうから聞こえたと思ったら、パンと手をたたく音がした。
私の周りにいた不良男子たちはいっせいに振り返って、ひきつった顔をする。
「え、
「俺、転校生の子に用があるからさ。道空けてくれる?」
「「は、はい……」」
おだやかな声なのに、不良男子たちは波が引くように私から離れていった。
あっさりと解放されたことにおどろきながら、私は教室の入り口に目を向ける。
そこにいたのは、長めの赤いくせっ毛に緑色の瞳をした、やさしそうな顔つきの男の人だった。
長いチェーンがたれ下がったピアスを右耳につけている彼は、肩に
ぽかんと、芸能人みたいに整った顔に
「こんにちは。滝高にようこそ。ちょっと聞きたいんだけど、きみ、格闘技かなにかやってる?」
「え……? い、いえ……」
このイケメンな人、誰だろう……?
とつぜん聞かれたこともよく分からなくて、不安を
「そっか。じゃあ、いかつい連中にかこまれて怖かったかな?」
「あ……はい……」
思わずすなおに答えてしまってから、ハッとして「あ、い、いえっ」と答え直す。
あわてて周りを見たけど、不良男子たちは怒るわけでもなく、どこか居心地が悪そうな様子でイケメンな男の人を見ていた。
「きみは手助けが必要そうだね」
「え……?」
つぶやくような、ひかえめな声が聞こえて視線を戻すと、イケメンな人はにこりとほほえんで、「おいで」と私にやさしく声をかけた。
「この学校で平和に過ごすために、となりのクラスのやつにあいさつしに行こう」
「あいさつ……?」
きょとんとして彼を見た私だけど、彼が少し離れて、私を待つように見つめていることに気づいて、とりあえず席を立った。
彼はにこりとほほえんで、教室の外へ歩いていく。
おずおずとその背中についていくと、廊下にも不良男子たちがいっぱいいたけど、誰にも声をかけられることなく、となりの教室に着いた。
イケメンな人は教室のなかをのぞいて、口を開く。
「
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