Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―
第4章 隠されたひみつと えらんだ欲望
5,予言の全貌
どういうこと、と目を丸くすると、帝さんは伏し目気味に説明を続ける。
「
「……えっ」
そ、それってつまり……帝さんは21歳の
な、な、な……っ!
「その運命を変えるのは……俺が21のとき、17歳の、ほおにほくろがある“
「わ、私……?」
ほくろがある左のほおに触れながら、ぽかんとして帝さんを見つめた。
私が、自殺しちゃう帝さんの運命を変えるって……どうやって……?
「俺が、結花を愛せば」
帝さんは視線を上げて、まっすぐに私を見つめる。
「この退屈が、消えるそうだ」
「み、帝さんが、私を愛せば……?」
帝さんが自殺する原因がなくなる、ってこと……?
え……え、え。
ぐるぐると頭が混乱しているけど、それと同時に、今までのことがパズルのピースをはめたように、ぱちぱちっとつながっていった。
帝さんが、私の名前と
ゲームの再挑戦を、“相手の心を落とし合う”ドロップハート限定で認めてくれたこと。
帝さんが、世のなかを退屈に思っていること。
ドロップハートで、私が勝つことを望んでいたこと。
廉さんが、『愛の魔法で死が遠ざかる』と言っていたこと。
帝さんが、勝者として定期的にキスすることを求めたこと。
……私に、
「予言を受けた1年後、予言と
帝さんは心のうちを明かしながら、一歩一歩私に近づいてくる。
どく、どく、と心臓の音が体にひびいているのは、きっと……。
「たしかに、ドロップハートを始めて、結花をそばに置くようになってから、“退屈”以外の感情をひさしぶりに感じている」
「み、帝さ……」
気だるげに、でもまっすぐに私を見つめる瞳がどんどん私に近づいて、身じろぎもできない私の
すこし顔を離した帝さんは、私だけをグレーの瞳に映して、ほほえんだ。
「その顔をもっと見たいだとか」
「ん……っ」
帝さんがまぶたを下ろして、また唇を寄せる。
そっと腰に回された腕が、私を抱き寄せた。
「結花が苦しむ姿はあせるだとか」
「帝、さ……」
すこし眉をひそめて私を見つめる帝さんの瞳は、心配にゆれているようで。
「他の男に触らせるのは腹が立つだとか」
すっと目を細めて私の瞳をのぞく帝さんに、
こんなに“感情”が表れている帝さんは、初めて見る。
「死ぬかどうかはどうでもいい。俺は結花にあたえられる刺激がもっとほしい」
ぱくりと食べるように唇を重ねた帝さんに、そろそろ心臓が
最初から、帝さんに“私”を求められていたなんて。
いつも気だるげで、たんたんとしている帝さんが、私に、こんなに感情をあらわにしてくるなんて。
どきどきしすぎて、頭がおかしくなりそう……っ。
「わ、私なんて、そんな、たいした存在じゃ……」
「俺の心を動かすのは、結花しかいない」
「っ……帝、さん……」
熱すぎる体温も、今にも限界を迎えそうな鼓動も、きっとこんなに密着してたら、帝さんにぜんぶ伝わってる。
好きな人に求められるうれしさが、私の手を帝さんのスーツに吸い寄せた。
「感情を感じるたびに、結花におぼれてみたいと思う」
私に向かって手を伸ばしてくるような、帝さんのまっすぐすぎる視線に耐えかねて目をつぶると、帝さんは私の耳元でささやく。
「俺のなかを、もっと結花で満たしてくれ。望みはなんでもかなえる」
体のなかに入ってくるような熱い声に、頭がくらっとした。
私、帝さんに手を伸ばしてもいいのかな。
心を落とし合うゲームとか関係なく、帝さんは私のものって言うために、くもをつかんでもいいのかな。
「わ……わかり、ました……がんばって、みます……」
声をしぼり出すように答えると、帝さんは私の唇をうばう。
長いキスのあと、そっと離れていく帝さんの頭をつかまえるように手を伸ばして、私は帝さんにぎゅっと抱きついた。
「帝さん、好きです……っ。絶対、死なせたりしませんから……待っててください……っ」
「……あぁ」
帝さんは私に
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