Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―
第3章 予言が引き寄せた恋
3,文化祭準備
11月の2日と3日にある文化祭まで残り9日。
昼休みを返上し、うちのクラスのメイド&
「ねぇ、どうして私は
「んー? そりゃ、あの帝さまが女子を愛するところが見てみたいからじゃないの?」
「えぇ……? でも、帝さん本人が、私が勝つことを望んでるんだよ?」
「なにそれ。それじゃもう勝ってるようなもんじゃん」
となりでおなじく ぬいものをしながら、茜は片方の眉をくいっと上げた。
もう勝ってる……そうだよね、ゲームの相手が負けることを期待してたら、相手が勝ちを
そもそも、帝さんからなにかアプローチされた覚えってないし。
「うーん……予言、かぁ」
「あ、や、なんでもない!」
今年帝さんが死んじゃうって予言されてる、なんてどう考えても言っちゃいけないやつだよね……!
私はあわてて口を閉じながら、予言とドロップハートになにか かかわりがあったりするのかなぁ?とぼんやり考える。
でもそんなの、帝さんたちにちゃんと聞かないと答えがわからないから、けっきょく別のことを考えてため息をついた。
「はぁ、どうすれば帝さんを落とせるのかな~……」
「
「そ、そんなことできるわけないでしょっ!」
私は
き、キスはしてみたけど。
帝さんに慣れるためとは言え、
「ま、うぶちゃんだからなぁ。でもほんと、がつんとした一押しがあればうまいこといくんじゃね?」
「がつんとした一押し……って、どんな?」
「それこそ押したおしてみたりとか、帝さまのピンチを助けたりとか、帝さまがいるのに他の男と浮気するって思わせたりとか」
「押したおすのはないから……っ!」
まずはそこを
帝さんのピンチを助ける……か。
帝さん、ピンチっていうくらい追い詰められたりしなさそうだけど。
あ、でも今年死んじゃうって予言されてて、私がそれを助けられる存在なんだっけ。
その予言って、いつ現実になるんだろう……?
帝さんが死んじゃうかもなんてこと、ずっと起こらないほうがいいんだけど……私、今からなにか準備とかしておいたほうがいいのかな……!?
「あとは他の男の人と浮気する……って、私がそんなことして意味あるの? ただ帝さんに見捨てられそうな気がするけど」
「帝さまともなれば、なんでも手に入れられるわけじゃん? 特別あつかいして目にかけてる結花がふらつけば、ちょっとあせったり……」
ちょっとあせったり……?と茜と目を合わせながら考えると、同時に首を振ることになった。
「なんて、ないか」
「ないない、私なんかが なにしたところで、帝さんがあせるなんて……」
「まぁそれでも気に食わなくて、もっとちゃんと手元に置いておこうとかさ。結花に目を光らせるようになるかもしれないじゃん」
「うーん……そうなのかなぁ?」
考えながらちくちくと衣装をぬっていれば、これやって、とお願いされていたノルマが達成できた。
よし、と仕上がりを確認したとき、タイミングよく
「
「はい?」
振り向くと、明るめの髪色にばっちりメイクをした、華やかな3年生っぽい人が扉の前に立っていた。
見覚えはない人だけど、なんだろう?
私は使ったはりをはり山に
「私が青波ですが……なんでしょうか?」
「は、はあ」
文化祭で、ミニカジノ……なんというか、すごいなぁ。
「でもゲームの
「あぁ、なるほど……」
「ちょっとうちのクラス手伝いにきてくれない?」
「わかりました。ちょっと片付けだけしてくるので、すこしだけ待っていただいていてもいいですか?」
「うん」
先輩にことわりを入れてから、私はいったん席にもどって、使ったものを片付ける。
「先輩から呼び出し?」
「うん、文化祭でミニカジノやるから、ちょっと手伝ってほしいって。行ってくるね」
「あぁ。がんば~」
「ありがと」
茜にもあいさつしてから、私は先輩と、階上にある3年生の教室に向かった。
そこには私を指名した晴琉くんも、とうぜんのようにいて。
「連れてきたよ~」と先輩が教室に入ると、晴琉くんと、周りにいた3年生の先輩方が私を見る。
「結花さん、こんにちは」
「こんにちは、晴琉くん。えぇと、私は なにをすれば……?」
「へぇ~、この子が中学のときからカジノで はたらいてるっていう? 実物初めて近くで見た」
「なんかカワイイよね~」
わいわいと話す先輩方にちょっと
すこしのあいだ、愛想笑いを浮かべて
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