男装して騎士団に入ったら、2人の天才に愛されて困ってるんですが。
11,マリーゴールド騎士団の初任務
Side:シャノン・ローズ
ノアがマリーゴールド騎士団に来てから、早くも7日が経った。
おどろくことに、アリスター団長は手合わせのときのかすり傷で、3日も訓練を休ませてくれた。
実のところ、4日目も休みを
さすがに
まぁ、その訓練というのも、アリスター団長の指示で、軽いメニューばかりだったのだけれど。
かすり傷ひとつでここまで休めるなら、多少の痛みは我慢してこれからも怪我をしようかと、心が揺らいでしまう。
「ショーン、こういう攻撃ってどう対処したらいいんだ?」
「……ん、なんだって?」
「ニック先輩、お願いします」
振り向くと、こくりとうなずいたニック先輩が、トムに向かって切り下ろし、切り上げ、水平切り、突き、と4回攻撃をした。
トムはそれにガード、回避、ガードをして、4回目の攻撃をがら空きの状態で受ける。
「あぁ、1回目と2回目をガードして、3回目を回避にすれば動ける」
「2回目をガードか……」
「……もう一度、やろう」
「はい、お願いします!」
トムが苦戦しながらニック先輩の攻撃を受けるのを、ぼーっとながめた。
ノアが来てからあまり話しかけてこなかった3人だけど、私が連日訓練を休んでいたら、心配だと言って突撃してきた。
以降、ノアが離れているときはふつうに話すようになったのだけれど……。
なにを思ったのか、アリスター団長が不在のときは、こうやって私に対していろいろ聞いてくる。
トムいわく、ノアより話しかけやすいから、だそうだ。
まぁ、最近はそのノアも、アケビ騎士団とか、他の騎士団に連れていかれて、練習試合をさせられているみたいだけれど。
「みんな、いい話があるぞ!」
訓練の合間の休み時間に、訓練場を訪ねてきたキース団長と、場所を移して話していたアリスター団長が笑顔で帰ってくる。
ばらけて自主練習をしたり、休んでいた団員たちがアリスター団長の前に集まると、団長どのはみんなの顔を見回した。
「うん? ノアは……」
「アケビ騎士団に連れていかれました」
「そうか、今日は戻ってこないかもしれないな」
苦笑いしたアリスター団長は、改めて口を開く。
「僕たち、マリーゴールド騎士団の初任務が決まった。ナギービの森へ、
「「おぉーっ!」」
****
「で、ナギービの森ってどんな魔物が出るんですか?」
バタバタとした準備期間を終えて、マリーゴールド騎士団一同で、王都より東にあるナギービの森に来たものの。
あのキース団長が持ってきた話なのだから、ろくな仕事じゃないだろう、と私はこっそりノアに尋ねた。
「スライムとか、アルミラージだな。ボス級でゴブリンが出る程度だ」
「え……」
弱い魔物、勢ぞろいじゃん。
落ちこぼれ騎士団の初任務にはお似合いかもしれないけど……。
“騎士団が森へ遠征”と言えば、森の中を手分けして巡回し、魔物を
オレンジ色の制服を着ているのはいつも通りだけれど、
「その上、ナギービの森には最近シクラメン騎士団が行ったらしい……無駄足を踏ませようという
「うわ……嫌がらせに全力ですね、キース団長って」
「引き抜きを断った腹いせかもしれない」
あぁ、あのあとノアも勧誘されたんだ。
私もキース団長が嫌がりそうな点を押し出して断ったからなぁ……。
興味をなくされることを期待したけれど、もしかしたら恨まれているかもしれない。
面倒な人に目をつけられてるものだ、マリーゴールド騎士団は。
「それでは、班分けをする! 6班に分けるが、緊急時は2班ずつ連携して動くこと!」
「「はい!」」
「1班、リーダー、ショーン!」
「え……はい……」
まさかリーダーを押しつけられるとは……。
ショックすぎてアリスター団長の声が右から左に流れていく。
あれが悪かったの?
遠征前、アリスター団長にちょっとしつこいくらい体の具合を聞かれたとき、もう大丈夫ですって言っちゃったのが……。
多少怪しくても、実はまだ……って言っておけばよかった?
思えばあのとき、なにか言いたげだったからなぁ……アリスター団長。
あのときだけじゃなくて、最近ずっとなにか言いたげな様子だけど。
「――以上! 森へ入るぞ!」
「「はい!」」
あぁ……始まってしまった……。
……まぁいいか、どうせ弱い魔物しかいないし、魔物自体出るか怪しいし……。
「ショーン、俺たちも行こうぜ」
「あぁ……」
声をかけられて視線を向けたら、トムとネイサン、その他2人の騎士が私を見ていた。
どうやら、彼らが同じ班のメンバーらしい。
「……行きましょう」
私は観念して、1班の
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