Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―
番外編
2,帝 の溺愛
私は
でも、やっぱり……。
「私ってただの
「気にするな」
まっさきに答えてくれたのは、反対どなりの帝さん。
「ゆいちゃんは帝サマの命を救った女の子だぜ~? 國家の方々は、ゆいちゃんが なに不自由なく すごせるよう、
「んぇ……それはそれで、おそれおおいような……」
國家の人たちにわるく思われてないならよかったけど、
へにょんと眉を下げると、廉さんはゆるく笑って首をかしげる。
「気にすんなって~。國家の全面的
「國家の全面的支援……」
たとえばどんなことがあるんだろう、と考えてみて、ひとつ思いついたことを口にしてみた。
「テストで、もし赤点を取っちゃっても、許してもらえたり……?」
「っははは!」
急に、廉さんがとなりで大爆笑し始めて、びくっとする。
え、私、そんなにおもしろいこと言った……??
「高校に通わなくても卒業できる」
「え。そ、そうなんですか」
笑い続けている廉さんの反対どなりで、帝さんがそんなことを教えてくれて、さすが國家、と
「あ~、腹いて~。はははっ、テストで赤点、ははははっ!」
「れ、廉さん……そんなに笑わなくても」
「だってゆいちゃん、はははっ! かわいすぎだろ~、っははは!」
「……放っておけ。酒が入っているときに笑い始めると、廉は止まらない」
「は、はあ……あ、帝さん、このチーズおいしいですよ。一口いかがですか?」
帝さんに教えられて、ツボがなぞだなぁと思いながら廉さんをそっとしておき、おいしかったおかずを帝さんに
すると、帝さんは私を見つめて口を開けた。
こ、これは……もしや、“あーん”待ち!?
私はどきどきしながらチーズを一口とって、帝さんの口元まで運ぶ。
私の手からチーズを食べた帝さんは、目を細めて「うまいな」とこぼした。
あの日から、なんだかようすが変わった帝さんは、今までより感情表現がゆたかで、まとう
こんなふうに、帝さんに近づくことを許されると、どきどきして落ちつかなくなってしまうから、私はぶどうジュースに手を伸ばした。
でも、グラスをつかんだ私の手に、帝さんの手が触れる。
「それは俺のワインだ。……飲みたいなら、止めないが」
「んぇっ。い、いえ、まちがえただけです!」
「そうか」
帝さんは、ふ、と笑って私の手からグラスを抜き取り、ぶどうジュースにそっくりな“ワイン”を飲んだ。
伏し目気味にこくりとのど仏を上下させる帝さんには、大人の雰囲気がただよっていて、どきどきすると同時に、なんだか もどかしい気持ちになる。
帝さんは大人だけど、私はまだお酒も飲めない子どもなんだよね……うぅ。
決して帝さんが相手にしてくれないわけじゃないけど、早く大人になりたいかも。
****
ふだんよりゆるゆるで、たぶん、笑い
夜もふけて、帝さんと部屋の前にもどってきた私は、別れのあいさつをしようと帝さんを見上げた。
「
「へ」
「となりの部屋でも遠い」
帝さんは私を見つめながら、するりと手をつないでくる。
ばくっと心臓がはねて、ほおに熱が集まるのを感じながら、私は考える前に「はい」とうなずいていた。
ほほえむ帝さんにつれられて、帝さんの部屋に入ると、ふかふかのベッドへ招かれる。
「あ、あのぉ……今さらなんですけど、帝さんの部屋って、私に見せられないものとか、たくさんあるんじゃないですか……?」
私に隠してた許可証とか手紙もそうだし、他にもいろいろと、立ち入り禁止になってたくらいの場所だから。
私が気安く入っていいのかな、と思ったんだけど、帝さんは私のとなりに体を横たえながら、あっさりと答えた。
「この部屋で結花がなにを見ても、問題ない。結花が知りたいなら、なんでも教える」
「んぇ……あの、私、付き合ってまだ1週間も経ってないのに、帝さんに
私は知ってる。他の人の前では、帝さんは前みたいに、ずっと無表情でいること。
かんたんに笑顔を見せてくれるのは、私を前にしたときだけ。
今日だって“あーん”を求めたり、一緒に寝ようって言ってくれたり。
帝さん、かなり私に甘いよね……?
向かい合ってまくらに頭をあずけながら ととのったお顔を見つめると、帝さんは私をやわらかいまなざしで見つめ返す。
「あぁ」
へ、平然と
うぅ~っ、こんなのどきどきするしかなくない……っ!?
私は大きな
「私、早く大人になりたいです……っ」
「……どうした?」
「帝さん、大人だから……なんだか、遠い存在に感じて。もっともっと、帝さんに近づきたいです……」
「……」
ぎゅうう、と抱きついていると、「結花」と呼ばれる。
顔を上げて帝さんを見た瞬間、唇を重ねられて、ばくっと心臓がはねた。
「俺に一番近い存在は、結花だ。“遠い”なんて感じるひまがないほどに……これからもっと、それを教えてやる」
「帝、さん……」
「愛してる、結花。その思考に触れて、感情を感じて、結花のすべてを知りつくしたい」
帝さんは私のほおに触れながら、唇を寄せて、そうささやく。
私をからめとるような視線に、どくどくと心臓が音を立てた。
「俺のそばで、結花が自由に振るまう姿をずっと見ていたい。結花のことを考えていれば、退屈なんて感じない。……結花が俺のすべてだ」
「……っ、私、ずっと、帝さんの特別でいたいです……帝さんが恋しくて、前の関係にはもどれそうもないので……」
わがままな欲望を口にすると、帝さんは美しくほほえんで私との距離を詰めた。
何度だって味わいたい感触。帝さんを近くに感じる
私は帝さんとキスをするのが好きなんだな、と気づいて、もっとしたいと帝さんに伝えてから。
帝さんは私を、離してくれなくなった。
「愛してる、結花」
私への溺愛に拍車がかかった帝さんは、口癖のように、日々私へ、愛をささやく。
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